2001年クリスタル

最寄りのブックオフで105円で買った『なんとなく、クリスタル』を読了。読了後の感覚は、『2001年宇宙の旅』を初めて体験したときの感覚に似ていた。僕がこのキューブリック作品を強く意識したときは、既に2001年を迎えてしまっていたし、当時ツタヤが出版していた映画雑誌の中では、テーマが古くさいとまで一般の人にレビューされていた。
『なんとなく、』もいまさら感が漂っていると思う。ここに書かれているテーマも、とっくに結果が明らかにされている。誰もが知っている。めまぐるしいほどのスピード感で一日がぶっ飛んでいく、一見選択肢が多く見えるようで、自分の手で掴める選択肢が狭まっている、そんな今となっては、「2001年」なんて幻。「クリスタル」も幻。それ故に上手に幻と手を取りあって戯れ合うことをここに示してくれる。世の中生き抜くのに大事なものはすでに在るかブックオフでだいたい105円。