かあかあ。かあかあ。

角川シネマ新宿で、黒澤明羅生門』を初めて観た。原作は芥川龍之介『藪の中』。羅生門で始まり羅生門で終わる。
一つの死体を巡って四人が供述。しかし、一つの事実に対する四人の供述は全く異なる。それぞれの立場にはそれぞれの守るべきものがあり、各々にとって都合がいいよう偽って証言をしている、と映画を観ている間は捉えていた。しかし、今思えば皆が、大真面目に自分の知っている真実を証言していたのかもしれない。出来事は一つなのだが、体験となるとそれぞれ異なり、また、記憶のされ方も全く異なるのかもしれない。誰が殺したか、何で殺したか、そんなことすらも大きく摩り替わってしまうほどに。
また、黒澤映画の音楽にとても好感を持った。穏やかに高まる感じが、丁度良く、しっくりくる。