小沢健次

タバコをまた吸い始めた。ぼくみたいな人は、吸っている方が人からそれっぽいと理解されやすい気がして。昔みたいにセブンスターがうまいとか、そんなことはどうでもいい。タバコなんて1mgで十分だ。煩わしいことなんかを、そんな風にして、安易に潰せさえすればそれでいい。ぼくはサングラスをかけて平気でなんていられないけれど、あの頃の人たちのように自分自身にだまされよう。
たまにだったら、十年前の頃のことを思い出して、自分を楽しませることもできたりもする。タバコを吸っていなかった頃は、夢の中にいるような幻の時間の中にいたのかもしれない。というか、そういう性格の別人格として捉えると面白くやっていけるかもしれない。今は五人目。主人格はたまにやって来る。