夜中、風呂から上がり牛乳を飲みにリビングに行き、台所の明かりを点けたところGとエンカウントしました。多少驚きはしましたが、こんなときの僕は、冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップに注ぎ、飲み干し、牛乳をしまい、明かりを消すという行動をいつも以上に冷静にこなしていたように思えます。もちろんその場で殺すことも考えましたが、17歳の夏に、自分の部屋の椅子にかかっていたすり切れたジーパンの裾に蟻の死体が絡まっているのを見てからどうも蟻だろうが蚊だろうが虫を殺生する気が起きなくなってしまったのですよ。我が家に遊びにきた生き物を僕は基本的には放っておく方です。結局、今回も放っておきました。
テレビをつけ、アガシの試合を見ながら先ほどの自分の行動を振り返る。久しぶりに見たけど案外大きかったなとか、ここで殺らなきゃものすごい勢いで繁殖したりして大変になるのかなとか、今リビングという一つの空間をGと共有しているんだろうなとか。どんどんGの存在が自分の中で大きくなったりして。そんな僕をよそにストロークが相変わらずすさまじかったアガシは無事二回戦を突破しました。