フェリーニ『崖』を観る。退廃的な世界の中で主人公の前に現れる純粋な少女。この人らしいな。最後の場面で、骨壷に入れるときに触れる人骨の白を連想した。
今、なぜモノクロ映画がもっと作られないのか。いつも疑問に思う。アプローチの一つとして確立されていてもいいと思う。燻らされたタバコの煙や、くっきりと黒で浮き彫りにされた影。真実に近づこうと対象を描写する際、モノクロは十分効果的だと思うし、実際に真実味もあるんじゃないか。
余談になるが、カラー映画の中で悪い夢を見ているようで冷や汗が出ることがある。美輪明宏をそのまま映画にしたみたいなやつ。フェリーニで言えば『魂のジュリエッタ』なんかがそう。