イギリス旅行中に阿刀田高の『新約聖書を知っていますか』を読む。渡英する前にテレビで初めて阿刀田高が話しているところを見た。人の歴史は恐怖の歴史、人間の遺伝子には恐怖体験が凝縮されていて、恐怖を追及しているとそこに人の本質が見えてくるのだとか。なんかエニグマっぽい。
以前に『旧約聖書を知っていますか』も読んだが、それと比べるとエピソードの羅列という感じがして、キリスト教に対して全く信仰も知識もない自分としては、今後この本を読んだだけで頭に残るのかはわからない。一部大胆な部分もあり読んでいて驚くが、全体としては比較的控えめな印象。ただ書き手の苦悩は十分に汲み取れる。またキリスト教という一つの宗教に対する姿勢にも好感を持った。実際ロンドンでナショナル・ギャラリーに立ち寄った際に、早速知識が役に立ちとても満足できた。
本書の導入部で出てくるフラ・アンジェリコ作『受胎告知』、インターネットで見ただけだが、すごくいい絵だと思う。


新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)